2006年6月17日
| 銀河パトロール隊(改定) |
| 登場人物 | |
| キムポール・キニスン | 地球人、本編の主人公、レンズマン |
| へインズ | 地球人、銀河パトロール最高基地司令官 |
| フォン・ホーヘンドルフ | 地球人、レンズマン候補生学校長 |
| ヘンリー・ヘンダスン | 地球人、銀河パトロール隊員、チーフ・パイロット |
| クラリッ・サ・マクドゥガル | 地球人、銀河パトロール基地の美人看護婦 |
| バン・バスカーク | オランダ系バレリア人、パトロール隊員 |
| ウォーゼル |
ヴェランシア人、ドラゴンに似た有翼の爬虫異生物、のちに、レンズマン |
| トレゴンシー | リゲル人、ドラム灌状の異生物、レンズマン |
| ヘルマス | 宇宙海賊ボスコーンを代表する独裁者 |
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1.卒業 |
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| 六月の朝の陽光を浴びて燦然と輝くクロームとガラスの殿堂。その九十階の建物は眼下に二百平方マイルの敷地を見下ろして立っていた。この建物こそ伝統を誇るウェントワース・ホール、銀河パトロールの精鋭、レンズマン部隊への編入を目指し地球人候補生たちが活動している場所なのだ。毎年、地球上の男子百万人が競争をパスして候補生に選ばれる。 | |
| 最初の一年間でウェントワース・ホールを見る機会のないうちに五千人以下になる。そして卒業にまでたどり着くのは百人程度になるのだ。 そこの一室、A室で第五クラスがレンズの授与を受けるのだ。首席で卒業するキムボール・キニスンの手首にレンズがおさまった。レンズ、それは科学上の発見や発明でなくアリシア人から与えられる精神科学の産物なのだ。銀河パトロール隊、その昔、自動車の発明直後州の警察が州境を越えることができなかったように、無慣性飛行で多数の太陽系を自由に行き来できるようになって犯罪は激しくなり、文明の危機が訪れた。そして三惑星間パトロールの首班だったバージル・サムスがファースト・レンズマンとなって銀河パトロール隊を創設したのだ。いまや、委員会とそのパトロール隊の力は事実上絶対的だ。どこへ行こうとも、いかなる陸地、水域、空中、または宇宙空間でもわれわれの島宇宙の中である限り、レンズマンの言葉はすなわち法律なのだ。そしてレンズを帯びた者でこれを汚したものはいまだかってでていないのだ。 |
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2.指揮をとる |
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| 卒業式から一ヶ月足らずキニスンは最高基地から呼び出された。空港提督ヘインズの専用機におさまり最高基地へ向かうキニスンの目に一隻の宇宙船が映った。 パトロール用の超ドレッドノート型戦艦よりも大きく、完全な涙滴型、流線型の極地ともいうべき形だった。この船は実験船、実戦以外では試すことのできない新開発のQ砲を積んでいる。「キニスン、君は経験こそないが首位の成績で卒業した。経験こそないがわが宇宙艦隊のどの艦長にも劣らぬ資格を持っている。宇宙で木っ端微塵になる可能性の代償として十年の経験によるベテランの格付けを一回の航行で格付けできるわけだ。」 キニスンは狂喜した。この宇宙船の指揮をとれるのだ。ヘインズが告げる。いまや護送船団さえ安全でないのだ。海賊は新型の宇宙船を作り出し、われわれの大型戦艦より速く、快速巡洋艦より強固に武装している。このブリタニア号はこれまでの宇宙船より速い。防御スクリーンは積んでいるが唯一の攻撃力はQ砲のみ。キニスンは銀河系のどこかで新型の海賊船を発見、捕捉、敵艦になぐりこむ。その後、専門家が活動を始めて知りたいことを発見するのだ。情報は基地に持ち帰らねばならない。できなければブリタニア号作戦は失敗だ。 彼とブリタニア号は宇宙空間で訓練を繰り返し、ついに宇宙へ出発した。 そして「QBT!応答せよ、QBT!」海賊船による略奪だ。近い。チーフパイロットのヘンリー・ヘンダスンはまっしぐらに略奪の現場に向かった。「第五十八ステーション、Q砲、―――完了!」 ついに敵艦に接触、Q砲発射。わずか十キロの距離に四、五秒を必要とする兵器があらわれた。 |
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3.救命艇へ |
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| ミサイルは命中した。海賊船の防御壁が破られた。ニードル光線係がスパイ光線の映像プレートを操作して捕獲した船に次から次へと穴を開けていった。接舷した。百人ほどのオランダ系バレリア人の戦闘員が出動した。指揮するのはバン・バスカーク軍曹。海賊の宇宙服には光線銃も効果がない。しかし法律の執行者たちは残された武器、宇宙斧を使って戦った。海賊たちは次々と倒されていく。 | |
| バスカーク軍曹は主制御盤に到着、スイッチを切った。「こんどは聞こえますね。みんな片付けてしまいました。こちらへ来て調査してください。」技師長ラ・ベルヌ・ソーンダイクに率いられた専門家たちが突進する。恐るべき性急さで、正確に、完全な協力のもとですでに準備されたスケジュールに従って海賊船のチェックを始めた。調査が終わった。求めていた技術データは得られ、テープに収められた。全員がブリタニア号へと引き返した。ヘンダスンはすでにこの船を想像もつかないような最高スピードまで上げて太陽系の方に反転していた。 しかし通信士官ネルスは静電で充満した空間で通信できなかった。データを最高基地へ持ち帰るのだ。キニスンは決断する。 キニスンはあらゆるデータをコピーし、全乗員はデータのコピーを持って救命艇で脱出した。キニスンの相棒はバン・バスカーク軍曹だ。無人となった大宇宙船は偶然にまかされた操船方法で宇宙空間を突っ走った。しかしついに海賊船はブリタニア号を捕捉、スパイ光線が接触した瞬間、ブリタニア号は爆発、近くの海賊船を巻き込んだ。 |
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4.脱出 |
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救命艇は宇宙空間を有重力でただよっていた。エーテルは晴れない。そのとき近くにブリタニア号を目撃、爆発した。海賊船の一隻が飛び散ったブリタニア号の破片と衝突し有重力状態でただよっている。キニスンたちは思い切って自由推進して海賊船に近寄り、非常口から潜入した。海賊船の乗員はほとんどが死んでいた。 |
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5.ウォーゼルの救援 |
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| ドラゴンそっくりの生物が降下してくるに連れて絶壁にすむ怪物どもは狂ったようになった。地球の二倍半以上の重力のバレリアで生まれ育ったバン・バスカークのおかげでキニスンも持ちこたえられた。「救援ありがとう、ウォーゼル、まさに危機一髪でした」「その思考放射をやめたまえ、今のキャトラットどもはこの惑星デルゴンでは弱小な害敵だ。はるかに凶悪な連中がいる。」 | |
| キニスンはレンズを通じた遮蔽された思考をかわしヴェランシア人とともに無慣性飛行でウォーゼルの薄い金属板でできたテントに向かった。 惑星デルゴンの住人は邪悪だった。通常の意味でヴェランシア人の敵であるばかりでなく海賊であり、主人であり、奴隷として扱ってきたのだ。しかしついに一種の思考波スクリーンが発明されヴェランシア人は独自の科学を発展させた。科学者たちはデルゴンの支配者から解放するということを終生の目的として生きていたのだ。ウォーゼルの精神エネルギーでもキニスンをくじけさせることはできない。 デルゴン人の精神力にもキニスンの心が耐えられるかもしれないという望みをかけてウォーゼルはドアを開けた。たちまち襲いかかるデルゴン人の思考波。しかしキニスンの抵抗力の前にデルゴン人の所業が明らかになっていく。 デルゴン人たちはヴェランシア人の衰え行く生命力を文字通りむさぼり食らっているのだった。 |
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6.デルゴン人の催眠術 |
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徐々に場面が変化した。キニスンは直ちに外科的処置を埋める必要があると感じるようになった。殺しているのではなく治療しているのだ。「わたしを解放してくれ。急ごう――」 |
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7.デルゴン貴族の消滅 |
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ウォーゼルの案内でキニスンたちは武器庫へと急ぎ大量の武器を運び込んだ。もうすぐバッテリーがいっぱいになろうかという頃、異常な電力消費に気づいたデルゴンの技師がやってきた。バリケードでさえぎられた彼らのあとから攻撃隊が現れる。二人のパトロールマンは目の前に詰まれた武器を取り上げ放射器の有効寿命にかまわず全開放射した。重武装のデルゴン人攻撃隊はなすすべもない。 |
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| 調達した武器を使い終わった二人は彼らのデラメーター放射器を使う。何たる効果の違い。戦闘員たちは燃えもせずただ消えるのだ。爬虫人たちは全滅した。新手の攻撃隊がやってきたときにはバッテリーは完全充電していた。二人はウォーゼルとともに無重力状態となってジャングルを越え、テントに帰り着いたのだ。 それからデルゴン貴族を一掃するために出発した。大山脈の中の洞窟にひそむデルゴン貴族。しかしデラメーター放射器の敵ではなかった。デルゴン貴族たちの聖なる密室。二人は容赦なく無慈悲に、なんの悔恨もなしに殺戮してのけた。この想像も及ばない邪悪な種族は根絶やしにする必要があるのだ。思考波スクリーンを切ってデルゴン貴族が一掃されたことを知ったウォーゼルは狂喜した。彼らの宇宙船はすでにこちらに向かっているのだが十二日もかかる。キニスンは自分たちの救命艇を使うことにした。ウォーゼルの心は付近の宇宙空間を考察し十一光年くらいの間に邪魔になる実体はないことを告げた。なんという心だ。なんというすごい受信能力だ! キニスンは艇の操縦に専念しヴェランシア星へと到達した。 |
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8.獲物の反撃 |
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| ウォーゼルは国の科学者評議会を知っていた。ただちに惑星最大の空港から通常の要員が除去され、まったく新しい集団が配属された。彼らは一人残らず科学者集団の思考波スクリーンの中から選抜されたのだ。 彼らが建造を命じられたようなエンジンが可能であるとは誰も夢想だにしていなかった。 しかし彼らは数学の基礎理論と運用に通じていた。理論数学から応用機械学へはほんの一歩だ。おまけに救命艇の中に縮小されたかたちですでに存在している。 巨大な機械の製造は着々と進んだ。この間キニスンは敏感な通信機の製作に時間を費やしついにヘルマスの通信を直接つかまえた。すでに救命艇の四隻がつかまっていた。そして自分の心を解放し、ウォーゼルの心と合体して救命艇の乗員と精神感応を行い、ヘンダスンたちをヴェランシアへ呼び寄せた。 到着した専門家たちはヴェランシア人と協力して襲来してきた海賊船の六隻を拿捕したのだった。 |
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9.故障 |
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キニスンたちは六隻の船団で惑星間宇宙に飛び出した。一隻には地球人のグループがまとまりのこりには志願したヴェランシア人が乗り組んだ。いまや全宇宙でもっとも強力な戦艦に乗っているのだ。順調に行くかと思われたがバーゲンホルム重力慣性器が突然故障した。有重力かとともにたちまち襲ってくる海賊船。三隻の攻撃を受け止めている。 |
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技師長ソーンダイクの間に合わせの修理で危機を脱出した。しかしいつまた故障が起きるとも限らない。バーゲンホルムの修理が絶対に必要だった。 |
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10.惑星トレンコ |
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地球を基準にして考えればトレンコはまったく異質だった。大気の半分近くと液体層の大部分は気化潜熱の極度に低い物質で沸点が非常に低いため日中は蒸気だが夜には液体に変わる。そのため夜になると恐ろしいほどの雨が降る。毎夜きっちり四十七フィート五インチの雨だ。 |
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11.海賊の総基地 |
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ヘルマスの基地がある小さいが快適な惑星は銀河系から少しはなれて母星の周りを回っていた。総基地はこの惑星の何百平方マイルをおおっていた。そこはこの時代の軍事科学者たちに知られている限りの攻撃装置、防御装置が備えられ、中心には燦然と輝く金属のドームがそびえていた。そして要員たちは太陽系人をはじめとして何百という太陽系の住人がいる。 |
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| そして一人残らず酸素呼吸者、赤い温血の持ち主だった。ここでヘルマスは指揮をとっていた。五番目の獲物はコルヴィナ星系第二惑星の大洋に突入、しかし六番目の船は何の痕跡も見つからない。側近からレンズの起源についてアリシアが怪しいと聞いたヘルマスは部下を派遣しようとする。 バレリア人ギルダースリーブの指揮する海賊船は今まさに略奪していた。護送に当たっていたパトロール船はすでに粉砕されていた。しかしギルダースリーブはアリシア行きを拒否した。部下も反対した。ボスコーンを代表してのヘルマスの指示にも反抗するのだ。 「あんたはわしたちを殺すだけだ。アリシア行きは別物だ。」 迷信を信じない乗組員で編成した船がアリシアへ近づく。船長はある精神エネルギーに心を満たされ途方もない恐怖に襲われ総司令部を呼び出す。そして乗り区民たちは相互に殺し合いを始め、船はヘルマスの基地に向けて発進した。 |
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12.キニスンの成功 |
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ヘルマスは考え込んでいた。このレンズマンは強力であるばかりでなく驚くほど機略に富んでいる。宇宙線エネルギー推進の技術はパトロール隊にはまったく未知の世界の科学で開発されたものでボスコーンの優越性の大きな支柱だった。このまま秘密が洩れなければ両者の闘争は一年で終わりを告げるだろう。 |
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13.空飛ぶ鉄槌 |
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ブリタニア号の乗員で海賊の追及を免れたものはほかにはいなかった。技師や設計者たちはデータ記録テープを手に巨大な海賊船に群がった。かれらが新しい戦艦を建造している間キニスンはヘインズと相談し、ウォーゼルにレンズマンのテストを受けさせることを進言、探知器を中立化し無効にするスクリーンを開発する。レンズには何か新しい利用法があるに違いない。 |
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| そう確信するキニスンだった。大別して二種類の宇宙船が造られることになった。第一の種類は――特別偵察巡洋艦――スピードと防御力に優れ、第二は空飛ぶ鉄槌、巨大で不恰好で速度も遅い創造も及ばないほど膨大な攻撃力の貯蔵庫だった。 すべての準備が整い、銀線四本をつけたの肩章をつけた将校として最も若いキニスンは重巡洋戦艦ブリタニア号を指揮していた。最も近い海賊基地はすぐ近く海王星の衛星にあった。 ボスコニアの太陽系分遣隊の宇宙船は消滅した。 一隻の船も逃げられなかった。それから基地に攻撃が加えられた。空飛ぶ鉄槌のビームはまるで鋼鉄の弾丸がバターを貫くようにやすやすと金属と石を貫きさらに惑星の岩床深く突入してやっとその恐るべき破壊力を使い果たした。降伏ということはまったく考慮に入れられなかった。 単なる勝利では充分でない。絶対的で完全な容赦のない殲滅戦だった。 |
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14.独立レンズマン |
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傍若無人にもパトロール隊の最高基地のすぐ近くに建設されていた敵の洋裁が抹殺された後、角逐艦隊はゆるい体系を組んで銀河系の各区域を掃蕩しはじめた。ボスコニアの基地も多数破壊された。しかしある日、一隻の巡洋艦が発見した基地はスパイ光線さえ遮断していなかった。まったく空虚だった。 |
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15.おとり |
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この数週間、ニューヨーク宇宙空港にはアラスカン星への緊急荷物が放置されていた。地球にはアラスカン産のシガレットが一本もなくなってしまったのだ。しかし護衛なしで商船を出港させることは問題外だった。そして奢侈物質はまったく護送されないのだ。困ったマシューズという貿易商の元にメッセージが届く。護送するというのだ。しかしこれはキニスンの計画だった。 |
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| 商船と戦艦はいっしょに発進する。その後戦艦は呼び戻される。そして海賊の襲撃を受ける筋書きなのだ。商船の乗組員の半数以上が海賊なのだ。予定通りに商船と戦艦は発進し、バレリア近くで戦艦が呼び戻される。バレリアへいったん着陸した商船はバン・バスカーク中尉以下の戦闘員を乗せて再度発進した。 予定通りに海賊船に襲撃された。いつものように襲ってきた海賊たち。しかし貨物船の乗組員はバレリアの戦闘員だった。乗り組んだ海賊の大部分は圧倒的な兵力に倒されてしまう。海賊船のスパイ光線が通過したちょうどこのとき、この虐殺のすさまじいフィナーレが暴露された。 「パトロール隊だ!まんまとやられた。」戦艦もやってきた。海賊船の船長は基地へと向かった。 |
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16.キニスン、車輪人間に出会う |
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海賊船が宇宙空間を逃走して行く間、キニスンはその獲物と、コースおよびスピードを一致させて跡をつけていった。ヘルマスからの指示で海賊船はアルデバラン第一惑星の基地に出頭をするのだ。候補生のときアルデバラン第二惑星であった魅惑的な美しい麻薬密売者の女を思い出していた。 |
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17.たいしたことじゃない |
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キニスンは意識を失わなかった。なさねばならぬことが多すぎた。レンズの信条だ。生きている限りあきらめない。切断された宇宙服の動力導線を予備の導線でつなぐ。おそるおそるスイッチを入れてみる。奇跡か、重力中立器は作動した。数瞬のあと、キニスンは縦穴を上昇し、快速艇に戻った。また意識に暗黒の世界が侵入し始めた。ヘインズへ救援の思考波を送り、故郷の太陽系に向けて快速艇を発進させたキニスンは今度こそ気を失った。 |
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18.高等訓練 |
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キニスンは意識を回復した。一週間するとほとんど痛みが去り束縛されているのをじれったがり始めた。レンズマンは模範的な患者でなかった。主任看護婦との関係は悪化の一途をたどった。大きくて厚い生焼けのビフテキがほしいのにぶよぶよした白っぽい落とし卵だ。朝食を皿ごとテーブルからはじき落とした。看護婦との戦いは続き、何週間か過ぎ、キニスンは全快した |
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| 。ヘインズと会ったキニスンは驚くべき提案をする。自分のうぬぼれとばかに何かの治療をしてもらうためアリシアへいくというのだ。彼はアリシア人から二度と来るなと言われてなかったのだ。この事実はキニスン以上にアリシア人のことを知るヘインズには信じられなかった。 惑星アリシアへ近づいたキニスンはアリシアのメンターから迎えられた。「ああ、お前は進歩したな。視覚が必ずしも信頼できないことを理解している。」「お前たちの心は年ごとに強くなった。そしてついにお前がレンズを調整してもらいにきた。ほかにも何人か戻ってくるだろう。事実、われわれの間ではお前ともう一人のものとどちらが最初の高等教育生になるか論議の的だったのだ。」「もう一人とは誰ですか?」「お前の友人、ウォーゼルだ。」 アリシア人の教育が始まった。「抵抗せよ!」厳しい命令がきた。高等教育は続けられた。何週間もたったように思われたある日、彼はメンターの暗示を完全に妨げた。続いて起こった精神的格闘。ついにキニスンは師のスクリーンを打ち破りアリシア人の真の姿を見た。・・・それは脳そのものだった!緊張が去り格闘は収まった。教育は終了した。さらに求めようとするキニスン。求めるものを正確に認識していないとキニスンを諭し、メンターの高等教育は終了した。 |
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19.裁判官、陪審員、そして死刑執行官 |
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| レンズマンにとって自分がアリシア人から求めているものが何であったかを正確に認識するのに長いこと時間がかかった。いまや計画を実行するに必要な力が手に入ったのだ。自分の力がどんなものか、キニスンはラデリックスの戦区基地に向かった。 新しく手に入れた知覚力を駆使し、観測員の心を制御して基地に潜入した。制御力は充分だった。翌朝、公然とラデリックス基地に呼びかけ司令官のジェロンドに会うのだった。 彼はジェロンド以下の三人の将校にあい、精神制御の実験をする。将校たちは精神的にも肉体的にも精一杯の抵抗をするが彼の指示で本を取り上げるのだった。どの二人でもできた。三人だと完全には制御できなかった。キニスンの能力に驚いた司令官ジェロンドはある依頼をする。殺人事件の容疑者が二人、しかし二人とも心に触れさせないのだ。無実の人の中にもレンズを通じて心に触れられるのを嫌がる人が多数いるのだ。キニスンは快諾し、スポットライトのついた箱を用意させ、黒い目隠しをして二人の容疑者に会った。一人の男はおさえようのない恐怖の発作に震え、「わたしがしました!あの映像をどけてください!」彼はうめき声を上げ、うめきながらすさまじい死を遂げた。 裁判は終了した。キニスンはジェロンドから近くのある非常に強力な海賊の基地のデータをもらい、出発した。 |
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20.美女争奪 |
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グレー・レンズマンを乗せた快速艇はラデリックス星系から抜け出し、ボイッシア星系第二惑星へと向かった。夜の側へ降下し偵察を始めた。粘り強い偵察で海賊の基地を発見し、ラデリックス基地へ侵入したのと同じように海賊基地へと潜入した。快適な小部屋へ入り込み主任通信士の心に入り込んで待機した。ある日、勝ち誇った報告が飛び込んできた。獲物は装備を満載したパトロール隊の病院船だった。 |
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| 怒りのあまり体中の血が逆流するような思いで彼は報告を受けた。病院船は朱に染まっていた。生き残っているのは看護婦たちだけ。彼は一団となっている看護婦たちの中から引き出された看護婦がクラリッサ・マクドォガルであることを見て、すぐに対策を立てた。何とかしてまだ希望があることを知らせねばならない。「おれは赤毛のやつをとることにする。前に入院したときビフテキがほしいのにむりやり紅茶やトーストや半熟卵を食わされた。赤毛の看護婦の代表としてそこにいるやつに腹いせをしようと思う。」船長は上官の言葉をさえぎるように口を切った。「わたしがこの娘を捕まえたのです。わたしに権利があります。」キニスンは主任通信士ブレークスリーの口を通して言った。マクドォガルはブレークスリーの言葉を聴いてすぐに覚った。なぜかわからないがレンズマンがからんでいるのだ。彼らが基地へと航行している間にキニスンはマクドォガルの心に感応し、基地司令官に色目を使うように指示した。司令官を罵倒するブレークスリー。怒りに燃えた司令官が武器庫へと近づく間、キニスンに操られた観測士はヘルマス直通の緊急呼び出しでサブ・エーテルをかき乱していた。 |
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21.第二の線 |
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ヘルマス専用の監視盤に電流が流れ始めた。今やヘルマス自身がこの場面を見ているのだ。基地司令官はブレークスリーのデラメーターで炭化して煙を立てている。怒り狂ったヘルマスの顔を確認して監視盤も通信装置も焼き払った。そして基地の全員を招集した。行動になだれ込んでくる要員のうち武器を持っているのは六人。将校の一人が言った。 |
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22.試験準備 |
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キニスンはヘルマスの基地へ向かったのではなかった。アルデバラン星へと向かった。新しい能力が地球人以外の知能に効果があるかどうかということ、およびあの車輪人間に借りがあるからだった。彼は車輪人間の基地に潜入し破壊してさった。それから星団AC二五七−四七三六へと向かった。 |
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23.トレゴンシー麻薬業者と化す |
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キニスンは特殊な宇宙服を建造した。厚さ何インチもあり外を覗く窓や隙間もなかった。激しい機関銃の弾丸に雨にさらされながら宇宙服を着込んで動き回るのだ。二万発の弾丸にも耐える宇宙服。それからキニスンは惑星トレンコへと向かった。今や知覚力のあるキニスンは難なくトレンコへと向かい、レンズマンと連絡した。トレゴンシーだった。 |
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| 彼はここで麻薬シオナイトを五十キログラム手配した。レンズマン、トレゴンシーの任務はトレンコの植物を一本でも採取しようとするものを殺すことなのに太陽系の一ヶ月で製造されるよりの多くのシオナイトを要求するのだった。トレゴンシーはためらわずに応じた。 彼らのもとには麻薬業者から没収したシオナイト加工装置があった。キニスンは正午少し過ぎ、一番静かな時間に外へ出た。よってくる平べったい生物は犬よりは高い知能を持っていた。彼はこの生物を操り植物に葉を採取させるのだった。借りを返すのだ。生物にとり砂糖は珍味だった。 トレンコ生物はそれ以降意欲的に働き出した。いぶかるトレゴンシーはキニスンに尋ねた。砂糖のせいだ。リゲル人は砂糖よりもでんぷんの方を好む種族なのだ。しかし砂糖のせいだけではない何かがある。トレゴンシーは生物の制御を学び、トレンコの警備に役立てようとする。 やがてシオナイト五十キログラムが手に入った。キニスンは礼を言って宇宙航行の途についた |
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24.キニスン内側から穴を開ける |
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キニスンは前回のように慎重に星団AC二五七−四七三六に接近した。今度は快速艇を基地の近くに持っていかねばならない。あらゆる動力を切って総基地の裏側に当たる惑星の夜側へと落下していった。総基地から行動範囲内にあって鉄鉱脈で厚く遮蔽された大きな洞窟に入った。 |
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